セルフコントロール研究所 ~ ともぞうブログ

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2011/01/05(水) 00:17:40

[マンガ] 『弁護士のくず』はブラックジャック

離婚を望んでいる夫に、離婚したくない妻の代理人である弁護士が質問します。
弁護士「あんた男のくせしてコマゴマと口ウルサイんだって? 夕飯の時間にウルサイの? 帰ってきた時に夕飯ができてないとあんた怒るんですか?」
夫「いや……怒るのは妻の方です……妻はいつも勝手に食べ始めているから、オレは電話でその時間を聞いて間に合うように家に帰るんだけど……たまにおかずを買ってくるように言われて……遅れると怒るんです、妻が……」
弁護士「遅れると怒るのは、あんたの分をまた温め直したりしてめんどくさいからじゃないの?」
夫「……いや別にめんどくさくないと思うけど……遅れたら片づけちゃって、オレのメシはナシだから……」
妻「……」
夫「あ、でも……自分のは自分で作るから別にいいんだけど……」
弁護士「では洗濯モノをたたまないということですけど。あなたは奥さんに洗濯モノをたためと文句を言うんですか?」
夫「いや……洗濯モノを投げつけながら妻が文句を言うんです……『ホラーッ! 自分でたたんでよ! もーっ! 何であたしにやらせるのよっ!』って……」
妻「……」
弁護士「あなたは『フトンを干せ』とうるさく注文するそうですが……」
夫「昼、オレが家にいるなら自分で干すけど……一年に一度くらいオレのフトンも干してほしいんですよね……」
妻「しょうがないでしょ! ベランダが狭いのよっ! あたしと麻林の分でいっぱいなのよ! あんた、自分のフトンのことしか考えないの!?」
夫「だから……一年に一回くらいおまえのをどけてオレのフトンも干してくれよ」
妻「フトンフトンってそんなにフトンが大事なの!? いいじゃない、そのくらい! 小さい人間ねーっ! そんなにフトンが好きならフトンと結婚したら!?」
弁護士「あなたは妻が韓国旅行に行くことに反対したそうですね?」
夫「いや……まあいいんだけど……週に4日テニスとカラオケと麻雀とフラメンコに通っていて……たまには遊びに行きたいとか言われると……」
妻「だって山口さんも村松さんも近所の奥さんみんな行ってるよ! 何であたしだけ行っちゃいけないのよ!」
夫「いや、だって、おまえいつも安月給だからうちはビンボーだって……」
妻「だって実際安月給じゃん! 丸山さんなんか四井商事でいくらもらってると思ってんの! あんた、高卒だからあんな会社しか入れないのよっ!」
夫「安月給なのはすまないけど……それならおまえもパートに出るとか……」
妻「え、何!? それじゃあたしが全然働いてないっていうのっ!? ひどい! あんた考え方古いのよっ! 主婦はタイヘンなのよっ!」
夫「いや……別にオレは……」
妻「もういいっ! あたしゃ怒った! もう家事はやらないっ! あなたがやって下さいっ! 家事なんか簡単なんでしょ! あんたやってね!」
夫「オ、オレは会社で働いてんだから……」
妻「そんなの当たり前じゃない! 男が家族のために働くの当然でしょ! なにいばってんの!」
夫「じゃオレは外で働いて家事もするって……お、おまえおかしい……」
妻「あんた女を殴るなんてサイテーッ!」
夫「……急にな、何言ってんだよ? 今はそんなこと……」
妻「あんた女を殴って悪いと思ってないの!? あたしはすごく傷ついたんだよ! 身体も心もすごい傷ついたんだよ!」
夫「だ、だから何度もそのことは謝って……」
妻「謝れば済むの!? みんなあんたのことひどいって言ってるよ!! 近所の奥さんだってみんな『大変ね』って同情してるよ! 『よくガマンしてるね』って言ってるよ! みんな! 裁判所の人だって弁護士さんだってみんな言ってたでしょ! あんたが悪いって! 男のくせに何小さいことグチャグチャ言ってんのよ! あんたがガマンすればいいのよ!!」

続きはマンガ『弁護士のくず』で読んでいただくとして。
この妻のムチャクチャさ。ムチャクチャなんだけど、よくあるムチャクチャなんですよね。リアリティありまくり。よくこんな描写ができるな、と。
そして上のシーンの前までの展開では、弁護士が、妻の言うことを鵜呑みにして、夫のことを「細かいことに口うるさく、暴力をふるうとんでもない男」だと思っています。それがみごとにひっくり返る。実際、弁護士なら、ケンカしてる片方から聞いた話が現実とはほど遠かった、というのは良くあることだと想像します。世の中こんな感じなんだろうな、と思います。リアリティと、どんでん返しのストーリーが、見事に両立されているのです。

『弁護士のくず』は、1話から数話で完結するタイプの連載です。『スラムダンク』みたいな描写もマンガの魅力だけど、手塚治虫の『ブラックジャック』やこの『弁護士のくず』みたいに、短編型で、きっちり解決するスジを楽しむのがぼくは好きです。
ブラックジャックは異端の医師だけど、くずは異端の弁護士です。どちらも凄腕で、一見悪人のようで、実はすごく魅力的な人物、というのも共通しています。
くずは、一見、エロおやじで、自分のことしか考えないふざけた人物です。第一話で、セクハラの相談に来た女性に「チチもまれてキモチよかったのか? もまれてキモチよければセクハラにならないんだぞ。ちくしょー、オレにも もませろ」と言い放ちます。正直で、ある意味正しいんだけど、普通は言えないことを、くずはズバズバ言ってくれるのです。しかもただ斜に構えてるだけじゃなくて、どんな立場に立っても論理的に話ができる弁護士の高い能力を活かして、上司にはおべっかを使いまくり、陰では悪口を言いまくる。両方が、すごく論理的でレベルが高いので、余計おもしろいのです。
その一方、大人は嘘つきだ、タテマエばかりで本音は薄汚い、という少女に対して、こういう素晴らしいことも言います。

「ホンネなんてコショウみたいなもんだ。ヤセガマンのタテマエがあってこそ意味があるんだ。コショウを山盛りにされて食えって言われたらたまらんだろ? おまえはさんざん高いステーキを食わしてもらったんだ。コショウが足りないとか文句言うんじゃねえっ! 便所でウンコしてる姿がそいつの本質かよっ!?」

実に魅力的です。

それから、今話題の(?)司法の現状や問題点も、具体的に、リアルに描かれていて興味深いです。
10巻まで出ていましたが、今日【第二審】の1巻が出ていたので、買ってきました。
マンガに対して、絵じゃなくて、ストーリーとリアリティを求めている人に、超おすすめです。




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